ユージュアル・サスペクツ 映画寸評

主観か事実か、それが問題だ

カリフォルニア州の港で二十人以上が死亡する火災事故を装った殺人事件が発生。捜査官クイヤンは現場に居合わせた男、ヴァーバル・キントを放免直前に尋問し、殺人事件が起きた経緯を知ろうとする。
クイヤンの執拗な恫喝に、キントはしぶしぶ殺人事件が起こるまでの過程と事件の元凶である伝説的なギャング「カイザー・ソゼ」の話をし始める。
1995年。アメリカ。主演、ガブリエル・バーン。監督、ブライアン・シンカー。

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最初のシーンがとても分かりづらい。尋問シーン→昨夜のカリフォルニア州の港→六週間前のニューヨーク。思わず見返してしまいました。
映画評などで話題になっている最後のドンデン返しですが、個人的には想定の範囲内でした。なぜなら、どうすれば観客が一番驚いてくれるか制作者目線で考えたからです。脚本家目線と言い換えてもいいかもしれません。

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映画史に残るドンデン返し

まさかあの人がカイザー・ソゼだったなんて、と観客が驚いてくれる登場人物は誰か。驚きは突然で、変化は大きい方がいい。すると、自然とポイントが絞られてくる。
以下、ネタバレすれすれのヒントを教えます。知りたい人は反転してください。ヒントは利き腕です。冒頭のシーンでカイザー・ソゼは左手でライターをすっています。では劇中、右手でライターをするのが下手な人は誰でしょう? ......昔のソゼは髪が長かったんですね。

ケヴィン・スペイシーの演技も最高。......この映画とセブンは同年だったんだ。この映画で、個人的に気に入っているのは台詞回し。カイザー・ソゼが誰かを知った上で、もう一度見ると台詞回しの巧妙さにビックリしますよ?

あなたは詐欺師の話を信じますか?

ただ、嫌いな点もあります。それは主観と事実が明確でないことです。どのシーンが客観的な事実でどのシーンがキント(詐欺師)が語る主観的な出来事なのか、すべてのシーンで曖昧なままです。
そして、キントが話したことが事実かウソなのかを調べる術は観客にはありません。それができるのは劇中の登場人物だけですが、最後まで刑事がキントの発言の裏を取ることはありませんでした。

つまり、この映画は観客をペテンにかけたのです。本当にひどい映画です。が、見終わったあとで喝采を送りたくなるのはなぜでしょう? 胸のつかえが取れた気になるのはなぜでしょう?
気持ちよく騙されたい人は、このユージュアル・サスペクツを見ることをお勧めします。現実では気持ちよく騙されるなんてこと、ありませんからね。

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