借りぐらしのアリエッティ 映画寸評

心に傷を負った少年とアリエッティの物語

宮崎駿さん企画・脚本の映画、借りぐらしのアリエッティを見ました。
この映画の見所は、やはり作画だと思います。ジブリは風や水などの自然描写が抜群の制作集団ですが、この物語ではそれが極まっています。特に表面張力で丸くなろうとする水の表現力には圧倒されました。まさに観察力と空想の大勝利ですね。
話の展開がゆったりとしていて登場人物も少ないことから、芝居の「間」を贅沢に使った映画といえます。
2010年。日本。主演、志田未来。監督、米林宏昌。

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家政婦は見ていた

映画の前半は翔のキャラクターが立たず、見ていてモヤモヤ感がありました。
出番も感情表現も控えめで目、刺身のツマ的な存在が彼でした。小人たちを考慮に入れない身勝手な行動やアリエッティを傷つけるような発言をする彼の姿に腹 が立ちましたが、その未熟な精神状態が手術に対する不安から来るものと分かったことで、遅まきながら彼の心情を汲むことができたのでした。

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アリエッティが翔に出会う物語

ただ、彼がアリエッティの何を見て勇気をもらったのか、具体的な形が見えてこなかったのが残念です。
小人の存在なのか。アリエッティの性格や行動なのか。アリエッティの家族を思う気持ちなのか。漠然としていて、彼一人で落ち込んで彼一人で立ち直った印象をぬぐえません。

ハルさん、悪い顔してますよ

劇中でも言っていましたが、ハルさんは小さいころ小人を見たことがありました。その時は信じてもらえず悔しい思いをしたハルさん。巡ってきたチャンスを逃がすまいとハルさんも必死なのです。で、あの顔です。正直、ハルさんへのフォローが足りないと思います。

というかですね、翔を主人公にするよりハルさんを主人公にした方がよっぽど話が面白くなったと思うのです。捕まえた小人を人に見せるというハルさんを説得してやめさせようとするアリエッティと翔。翔の口からどんな言葉が出てくるのか、興味ありません? 僕はあります。ま、そんなことをしたら主人公どころか話の筋書も変わってしまうんですけどね。

美しい晩春の風景と小人たちのユーモラスな生活、本来交わらないはずのアリエッティと翔の二人の心の内を丁寧につづった映画、借りぐらしのアリエッティ。一度は見ておくべき作品です。

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