図書館戦争 有川 浩 アスキー・メディアワークス

少女趣味と図書館に関する思考実験

図書館にとっての最悪の事態をモデル化し、そこに少女趣味とヒーロー願望と成長物語を織り交ぜ、人は本から何を学べるのか、人と人はどう結びつくのかを突拍子もない物語の形を借りて綴った本。
図書館戦争(有川 浩・メディアワークス)の感想です。

本とのつきあい方を考えざる得ない物語

著者は図書館にとって最悪の事態を想定したと後書きで述べているが、まさに開いた口がふさがらない空前絶後の状況に説明もそこそこそに読者を放り込む。
この非現実的な世界設定を「ありえないこと」として一笑にふすか、それとも「一つの思考実験」として読み進めていくか、読者の鼎の軽重が問われる実に挑戦的な本だと思う。
心配することはない。世界設定が非現実的でも登場人物は血肉を感じさせる人間臭さがある。この本を読み始めたら、たちまちキャラクターの魅力にとりつかれページをめくる手が止まらなくなるはずだ。

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非現実の日常と現実の非日常

個人的に、物語はバランスがとれていることが必要だと感じている。非現実世界の日常か、もしくは現実世界の非日常。このあたりの絶妙なバランス感覚が物語には必要ではないか? ま、物語は自由なんだけどね。

図書館戦争のあらすじ

図書館に就職した主人公、笠原郁は毎日軍事訓練に明け暮れていた。
容赦のない指導教官、堂島篤。人の三倍耳の早いルームメイトの柴崎麻子。堂島の同僚の小牧幹久。図書館、ひいては本を愛する人々に囲まれて、笠原郁の図書館防衛員としての怒濤の日々が始まった。
メディア良化法。この「公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる法律」が国会で成立したことで、図書館を取り巻く環境が激変する。図書館はメディア法に抵触する書籍を多数所蔵する要監視機関として取り締まり対象になったからだ。そんな激動の中、笠原郁は名前も顔も覚えていない「あこがれの王子さま」に出会えるのか?
......という話です。

趣味は読書です...と胸を張っていえますか?

今まで本を買ったり借りたりして、当たり前のように本を読んできました。
しかし、この物語の中では、その当たり前が通用しません。となると、いやでも考えさせられます。本を借り、本を買い、本を読むこと。そのありがたさを。もちろん、物語自体も面白いのでさんざん笑い、感極まって泣いたりもしました。「本を好き」と断言できる人におすすめの一冊です。

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