目からウロコのシナリオ虎の巻 新井一 彩流社

シナリオは技術であり、ドラマとは変化である

ロングセラーとして知られる「シナリオの基礎技術」「シナリオの技術」の著者である新井一が四十年にわたって書きつづった、月刊シナリオ教室の巻頭言の中からシナリオについての金言格言を選び、どこからでも読めるように編集した本。

発想は制限から生まれる

シナリオの基礎技術は入門書として高いレベルにあったが、何度も繰り返される説明文がレファレンスのように引いて使うこと拒んでいた。しかし、この本は逆に入門書としてはお勧めできないが困った時の虎の巻として使うには最適な本に仕上がっている。
冒頭で書かれた「ドラマを考える10の法則」や「シナリオを考える10の法則」や付録は引いて使うことを前提にしたものだし、目次やページのレイアウトも一覧性が高く読みやすい。

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シナリオは絵になる具体的なものだけで描く

絵にならないものは書かないこと、ハコ書きの重要性、正直なセリフはつまらない、プロになるための十則、企画力のないシナリオは使えないこと、不完全主義のすすめ、ディティールが重要、マグファインとは、三多のすすめ、ドラマとは嘘である、黙阿弥の三大親切、ドラマには間が必要、ストーリーを遊びでふくらませる、監督・俳優・プロデューサーになったつもりで、監督や俳優がやりがいのあるシナリオを......などなど、魅力的なキーワードが並びます。

シナリオを学ぶうえでも「守離破」は大切

特に目からウロコが落ちたのが監督、俳優、プロデューサーになったつもりでシナリオを描く、というくだり。観客の立場になって書けというのは他のシナリオの解説書にも見られる文言ですが、監督や俳優、プロデューサーの立場に立って考えてみるというのは新鮮でした。

考えてみると当たり前の話で、シナリオを採用するのはプロデューサーで、シナリオを元にドラマを制作するのは監督で、シナリオを土台に演技をするのは俳優です。彼らの理解がなければ、いいドラマになるはずがありません。

また著者は、繰り返し基本の大切さを説きます。シナリオ教室ではまず原稿用紙の書き方から教えるのも基本を大切にするが故です。自己の殻に閉じこもるのではなく、好奇心と親切心がシナリオ上達に必要とも書いています。ぶっちゃけてると、他に目を向けろってことですね。コミュニケーションは大事です。

この本は、長年シナリオに携わってきた著者が、シナリオ教室で課題として提出された20枚シナリオや身の回りのことを通して、悩めるシナリオ作家のタマゴたちに先輩シナリオ作家として激励と助言を送った本です。

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