シングルモルトを愉しむ 土屋守 光文社

投稿日:

世界各地で製造されるウイスキー。この本ではウイスキーの中でもシングルモルトウイスキーについて解説し、風土に根ざしたスコッチウィスキーの魅力をあますところなく紹介している。

茶色の水は何味?

ウイスキーの聖地、アイラ島の旅行記から、ウイスキーが歩んだ歴史とその広がり、ウイスキーの製造工程と蒸溜所巡りについて、スコットランドの文化と人とスコッチの交わりについて丁寧に紹介しています。

ピート(泥炭)が島の四分の一を占めるアイラ島では、ホテルの水道から茶色の水が出るという文章には驚きました。茶色の水を一度飲んでみたい? いやいやいや、それはない。ないと思う。一度ぐらいなら飲んでみてもいいかな?

- スポンサードリンク -

スコッチウイスキーと呼べるのはスコッチ産だけ?

スコットランドでのスコッチ造りについて、詳細に調べて解説しているのでとても楽しく読めました。例えば、スコッチウイスキーの法的定義、ウイスキーの原料の大麦について、モルトウイスキーとグレーンウイスキーの違い、シングルモルトとピュアモルトは何が違うか、世界の五大ウイスキーについてなど、分かりやすいだけでなく楽しく読めました。

日本でウィスキーが作られた訳

ちなみに世界の五大ウイスキーをあげると、スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、ジャパニーズの五つ。アメリカンと、カナディアンはスコットランド移民が移民先で作ったものであり、スコットランドがウイスキーの聖地と呼ばれるのも頷けます。(ちなみにジャパニーズもスコットランドに酒造りを学んでいる)

というより、ビールやワインと違って近代になるまで一地方の飲み物だったウィスキー。歴史の割にウイスキーがメジャーになるのは意外と最近で、生産量が劇的に増加したのは第二次世界大戦後のこと。ヨーロッパ戦線から帰ってきたアメリカ兵士が戦場で飲んだ酒の味を忘れられなかったためだ。

第一世界大戦以前に時代を戻せば、イングランド人はヨーロッパの葡萄の木が致命的な被害を受けるまでワインを飲んでいた。ちなみに今でもイギリス人はウイスキーよりビールの消費量が多い。なぜなら、ウイスキーには高率の税金がかかるから。販売価格の八割が税金だそうです。

酒は国家の財布です

自国では小売価格の七割の酒税をかけておきながら、日本には酒税の利率引き下げを迫りますか。何度かの酒税の改定をへて、日本では欧米とは逆にアルコール度数一度に対する酒税の金額はビールが一番高いという不平等状態になってるんだとか。第三のビールが売れるはずだ。

個人的にはビールやチュウハイがコーヒーや紅茶より安い現状は異常なことだと思っているので、どんどん最低酒税を高くしても構わないぐらいです。

シングルモルトは世界でスコッチだけ?

この本の不満はタイトルに一部偽りがあることです。本の内容がスコッチウイスキー一辺倒なのはどうかと思います。タイトルを『スコッチウイスキーを愉しむ』にすれば文句のつけようもなかったのに。まあ、スコッチウイスキーがシングルモルトウイスキーの中心地であることは認めますが、他の国のシングルモルトウイスキーも解説してほしかったです。

特に日本のウイスキーの歴史について、章を立てて紹介してもよかったのではないでしょうか? 日本にだってシングルモルトはあるんでしょう?

酒はなが~い朋友

スコッチウイスキーの魅力を余すことなく伝えているこの本は、ウイスキー党だけではなく酒を飲むことを楽しみとしている人たちに読んで欲しい一冊です。もちろん、好みのお酒を片手に...ね。

- スポンサードリンク -