「社会調査」のウソ 谷岡一郎 文藝春秋

社会調査の半分はゴミくずでできています

世の中に出回っている事実を反映していないゴミくずのような社会調査について、事実をゆがめた理由や過程(なぜ、どこで、誰が、どのような形で)を解き明かすことにより、社会調査の正しい方法論とは何かを解説した本。

色眼鏡を掛けているのは貴方? それとも私?

世の中に蔓延している「社会調査」の過半数はゴミである。さらにそのゴミでしかない 社会調査をもとに新たなゴミが生み出される。この本では社会調査ゴミが 作られる理由を例示し、ゴミを作らないための正しい方法論、社会調査ゴミを見分ける方法(リサーチ・リテラシー)について解説する。

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社会調査ゴミは形のない公害

社会調査ゴミを巻き散らかす存在として

  • 学者(研究者)とその予備軍
  • 政府・官公庁
  • 社会運動グループ
  • マスコミ

の四つをあげ、特に他に与える影響からマスコミと学者を詳しく解説している。

バイアス(偏向)を知る者は社会調査を知る

社会調査をする上で様々なプロセス(過程)でバイアスが掛かるが、バイアスが掛かる理由の一つに仮説を証明する手段として社会調査をしている点を指摘する。つまり、有形無形の結論(=仮説)が先にあり、結論を導く手段として社会調査を利用しているのだ。

では、社会調査の結果が仮説に反した場合マスコミや学者はどうするか?
ほとんどの場合、プロセスに問題があったとしてバイアスを掛け直して仮説を立証する結果を導き出すか、もしくは世間に発表されないまま闇に葬られる。

因果関係と相関関係の違いは?

社会調査についての正しい方法論を知ることは、そのままリサーチ・リテラシーを高めることに通じる。この本では多くの社会調査ゴミを教材として取りあげ、どのプロセスのどんなバイアスが事実をゆがめてしまったかを詳細に分析します。

ちょっと変わっているのは、学者やマスコミの論文を評価・格付けする第三者機関の設立を提案しているところ。初版から十年経過していますが、このような第三者機関の話は残念なことに聞いたことがありません。

既存のマスコミを攻撃するグループはあるのに......。公開された社会調査を評価・格付けする機関の話を聞かないのは、する側される側、誰の得にもならないからかもしれません。

この本は、世に蔓延する事実を反映していない社会調査を教材に、社会調査について正しい方法論を学び、高度情報化社会におけるリサーチ・リテラシーの重要性を説いた本です。

補足

統計でウソをつく法 ダレル・ハフ (著), 高木 秀玄 (翻訳)の現代日本版として、入門者にもお勧めです。

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