ムハンマド イスラームの源流をたずねて  小杉泰 山川出版社

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人間ムハンマド

イスラム教の開祖、ムハンマドが四十歳で啓示を受けるまでの足跡と啓示を受けて以後の半生を、クルアーンやイスラムの伝承の中から引用し「人間ムハンマド」について語った本。

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ムハンマド―イスラームの源流をたずねて (historia)

第一イスラム教徒 ムハンマド

仏教。キリスト教。イスラム教。
言わずと知れた世界の三大宗教であるが、他の三大宗教の開祖であるキリストや仏陀と比べると、ムハンマドが決定的に違う点がある。
それはムハンマドだけが神格化されなかったことだ。
彼は神に人であるように求められ人として生きたし、彼の死後、残された信者も彼を人として敬った。アラー以外に神はなし。ムハンマドはアラーの教えを伝え広める預言者としての役割を全うし六十三の生涯を閉じる。

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啓示を受ける前のムハンマド

だが、彼の半生は謎に満ちている。
ムハンマドがアラーからの啓示を受けたのは四十歳の時。
それまでの彼はあまり目立たぬ存在だった。生まれ育ったマッカを支配していたのは他部族であり、幼いうちに父母を亡くし親族の手で育てられたムハンマドは、街と街とを渡り砂漠を行き来する隊商の仕事をしていたようだ。
そのころの彼は街では正直者・善人として街の記録にわずかに名を残す程度で、街の重要人物ではなかった。転機が訪れたのは二十五歳の時にハディージャという名の大商人と結婚してからである。

人生を一変したヒラー山の出来事

四十歳のハディージャから求婚したということは、ムハンマドには商才も人間的魅力もあったのだろう。この結婚からムハンマドが啓示を受けるまでの十五年は子供にも恵まれ幸せな生活を過ごしている。のちにムハンマドがアラーからの啓示を受けたとき、彼を信じ支えたのは、妻であるハディージャだったことからも二人の絆の強さが分かる。
信仰を広めようとするムハンマドだったが早々に人々に受け入れられるはずもない。結果的にマッカの街で孤立してしまったムハンマドたちは、マディーナの街に移り住む。単なる移住者ではなく、争いが絶えなかった街の調停者としてであった。

最初の世界宗教、イスラム教

マディーナでムハンマドは、すべての才能と惜しみない情熱をもってイスラムの教えに乗っ取り街を変革していく。街の指導者として市井の者と共同生活していた点は、キリストや仏陀にみられないムハンマド特有の来歴だろう。
また、開祖三人の中でムハンマドだけが民族や国家の枠組みを超えた「世界宗教」を意識していた。世界を意識したのはキリスト教より早い。このことは民族の間で不安定な生を送らねばならなかった生い立ちも影響している者と思われる。

イスラムによる多民族国家へ

キリスト教圏には預言者がいて、イスラム教圏では預言者がいない理由。
その答えはムハンマドの呼称にあります。
最後の預言者。
ムハンマドが神格化されなかった故に、イスラム教圏では預言者が存在しません。......いえ、本当にいるかいないかは調べていないので分かりませんが。

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