幻想図書事典 山北篤(監修) 新紀元社

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書物の始まり

ファンタジー関連の本であれば洋の東西を問わず、また実在架空を問わず、さらにジャンルを問わず紹介している。Truth in Fantasyシリーズの十巻目。

本という形

インドの経典であるアーガマから始まり、アイザック・アシモフの小説「われはロボット」まで約460ページにわたって、五十音順にアニメやゲーム、ライトノベルなどの創作作品でもよく参照・引用される本の数々を紹介した本。

紹介している本のジャンルも、詩(長恨歌)や小説(オズの魔法使い)や戯曲(曽根崎心中)、図画(鳥獣戯画)に地図(ピリ・レイスの地図)、魔術(高等魔 術の教理と祭儀、金枝篇)や錬金術(錬金法大全)といった神秘系の本、歴史書(ガリア戦記、春秋左子伝)、神話系の伝説(マビノギオン)や叙事詩(歌謡 エッダ)、説話集・物語集といった民間伝承もの(御伽草子、南総里見八犬伝)、経典(死者の書、サーマ・ヴェーダ)などの宗教書、学術書(精神分析入門、 鼻行類)や兵法書(兵法家伝書、将帥論)や偽書(シオンの議定書、ヒトラーの日記)や架空の書(ナコト写本、恐怖新聞)、辞典・事典(三才図会、薬物誌) や医学書(黄帝内経)や思想書(コモン・センス・資本論)と多岐に渡る。

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世界最古の本

まさしく辞書として引いて使われることを前提にした本。紹介した本に別名があれば、その別名も項目として扱っていることからも分かる。本文中の太字の扱いも面白い。索引を使って参照できるようになっているのだ。
巻末の解題、書名索引、アルファベット索引、参考文献、図版資料出典一覧も凄いの一言なので、創作活動の資料として非常に価値ある本といえる。
ただ、ジャンルから引ける索引はない。たとえば、兵法書に分類されている本にはどういった本があるかは索引がないので探しようがない。この本はジャンル索引があれば完璧だった。画竜点睛をかいだのが惜しまれる。

図書館

ページを繰っていて気がつきました。編集者八人よる実在架空を問わず多くの本および文章を選び集めた幻想図書辞典ですが、一つ欠けているジャンルがあります。
そればサイバーパンクです。(サイバーパンクって、ファンタジーですよね?)
クトゥルフ神話では作品の肝として数冊の魔道書が登場します。もちろん金枝篇を除いて非実在の本なのですが、作中では魔道書が世界観を構成する重要なアイテムとなっている訳です。
しかし、サイバーパンクもので本なり論文が世界観の根拠となっている作品を私は知りません。サイバーパンクものではクトゥルフ神話の魔道書の役割を『企業』が、それも街を牛耳るような巨大な企業が担っているからです。
という事情であれば、この本にサイバーパンクものがないのも納得です。編集者は悪くありません。

参考文献

それにしても、本当にいろんな本が紹介されています。正直、ジャングルブックがあるとは思わなかった。
あと、ドリトル先生の項にある作者ヒュー・ロフティングの少年文学に関する抱負が胸にしみました。ロフティング曰く、
「子供の読み物は、まず、面白くなくてはいけない。その面白さは何物に代えても守らなければいけない。しかし、単に面白がらせるために媚びることは、大きな間違いである。(以下略)」

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