佐藤可士和の超整理術 佐藤可士和 日本経済新聞出版社

投稿日:

この世界は、整理することで見えてくるものがある

この「佐藤可士和の超整理術」は、気鋭のアートディレクターとしてNTTDoCoMoやユニクロのトップディレクターとして活躍してきた著者による、仕事をするための空間、仕事をするための情報、仕事をするための思考をいかに整理し結果へとつなげていくかを解説した本です。

この本は、6つの章で構成されています。前書きおよび1章と2章は、著者が提唱する超整理術についての解説、3章は空間の整理についての解説、4章は情報の整理についての解説、5章と6章は思考の整理についての解説になります。

453219587X
佐藤可士和の超整理術 (日経ビジネス人文庫)

- スポンサードリンク -

大切なものは目に見えない

初めに前書きで超整理術を身につけるとどうなるのか、仕事にどのような影響を及ぼすのか、著者が整理術を編み出した背景について軽く触れ、第1章で超整理術とは何かを解説していきます。

人は見たいと思うものしか見えない

では、著者の提唱する超整理術とは何でしょうか? 超整理術と聞くと、整理整頓に関するものと勘違いする人がいるかも知れませんが、著者の整理の対象は机の上だけに限りません。著者の整理の適用される範囲は空間、情報、思考と広く、それらをたった一つのプロセスによって導き出すのです。

著者の問題解決プロセスは一つしかありません。プロセスは

  1. 状況把握/対象(クライアント)を問診して、現状に関する情報を得る。
  2. 視点導入/情報に、ある視点を持ち込んで並べ替え、問題の本質を突き止める。
  3. 課題設定/問題解決のために、クリアすべき課題を設定する。

の三段階になっていて、空間の整理・情報の整理・思考の整理すべてがこの一つのプロセスに沿って処理されます。

まず状況把握の段ですが、何かしらの問題を解決する時、すでに情報が提示されている場合もありますが多くの場合自分の手で集める必要があります。情報を集める際の注意点としては、漠然とした情報ではなく具体的な情報を集めること。クライアントを問診する理由がそこにあります。漏れなくダブりなく情報を集めることより、直近の情報を重視します。

視点導入の段の注意点としては、選択できる視点は一つということ。基準軸が定まらないと、並び替えがうまくいきません。集めた情報を並び替えることによってプライオリティが明確になり、情報と情報の因果関係や潜んでいた本質(上位論点)を引き出すことができます。

課題設定の段の要は、どう実現するかの一言に尽きます。ほとんどの事例で、問題を解決する方法が多数見つかることがあります。この場合、視点の導入が間違っていると複数の課題の中から適切な課題を選ぶことが出来ません。優先して解決すべき課題は、たった一つなのです。

著者の実例を解説し問題解決のプロセスを提示

3章と4章では、このたった一つのプロセスを使った空間の整理や情報の整理について著者の実例が語られます。
5章では、状況把握が不十分だったためコンセプトの言語化がうまく出来なかったNTTDoCoMoでの話。視点導入を間違えていて問題の本質になかなか迫れなかったファーストリテイリングのCIプロジェクトの話。問題の本質がネガティブすぎて、クリアすべき課題がなかなか見つからなかったTシャツ専門ブランド「UT」の話など。著者自身が仕事を通して経験した問題解決に至るまでのプロセスを解説しています。

6章では、このプロセスの最大のポイントは視点を見つけることであると著者は締めます。厳密には、情報を集めるだけでは見つからない「潜んでいる本質」を見つけること。そのためには、集めた情報を整理する必要がある訳です。著者がこの本のタイトルに「超整理術」と名付けたのも、その辺りにあるように感じました。

この本は、情報を整理し隠された物事の本質をあぶり出すことで、たった一つの冴えたやり方を見つけ出すプロセスを解説した本です。

- スポンサードリンク -