寝取られた男たち 堀江珠喜 新潮社

投稿日:

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寝取られた男たち (新潮新書)

浮気にみる男女差

浮気。それは男性だけの特権ではない。女性も同じように浮気をする。浮気に男女差はない。この本では、古今の文学作品の中から妻の浮気を知ったとき、夫がどのような行動をとったか、夫の行動がどのような結果をもたらしたかを探求した本。

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一盗二婢三妾四妓五妻

見出しの意味は、所帯を持った男が一番性的に興奮するのは人妻との不倫であり、次に使用人の女性、三番目が妾を囲うことで四番目が風俗に通うこと。そして一番興奮しないのが自分の妻ということを端的に表した言葉です。ここで面白いのは、自分の妻と他人の妻で順位が真逆になること。見飽きた自分の妻が他人にとっては垂涎の的である事実になぜか男は気づかない。いや、気づいていないふりをする。
『うちの女房に限って』と。

浮気している男性ほど自分の妻は浮気をしないと思っているが、現実は妻の浮気に夫が気づかないだけで妻も浮気をする。男女で違いがあるとすれば、夫が浮気した場合は妻自身が浮気に気づくことが多いが、妻が浮気した場合は第三者からの夫への忠告で浮気に気づくことが多いという点。シェイクスピアのオセロはまさにこの典型といえる。まあ、オセロの場合は濡れ衣でしたが、男女が逆だったらどういう物語になっていたことか。

パートナーの浮気を知ったとき

妻やパートナーが浮気をしたとき、夫として男として正しい対応はどれか?
この本では古今東西の文学から男の対応を引き出し紹介しています。浮気を知った男がとる対応として

  • 浮気を黙認する
  • 浮気女に復讐する・女を殺す
  • 妻敵討ち
  • 浮気を勧める
  • 女と別れる

五つの対応を紹介し、一つ一つを詳細に解説しています。

雅と不倫は縁が深い

洋の東西を問わず、貴族や王族には不倫や浮気に関するエピソードが事欠かない。
その理由として著者は、貴族や王族にとって家の存続こそが大事であって不倫や浮気は小事でしかないためとし、日本の華族に婿養子に入った軍人の話や妻とイギリス国王の不倫を黙認せざる得なかった貧乏貴族の話を紹介しています。
マリ・コンプレザン。さすがフランスといった言葉ですね。ちなみに国王や皇太子の愛人はロイヤルミストレスと呼ぶそうです。昨今のイギリス王室でいうと、チャールズ皇太子と公然の仲だったカミラ婦人でしょう。
え? カミラ婦人の先祖って......これも貴族の血がなせるものなのでしょうか。

男のメンツは重いか軽いか?

男のメンツを守る方法としては、浮気を黙認する方法と浮気相手の男に復習する方法があります。
妻敵討ちとは聞き慣れない言葉ですが、現代でも歌舞伎(鑓の権三重帷子)やヤクザの世界ではよく聞く言葉だそうで妻の浮気相手である男を夫の手で半殺しにすることだそうです。そうして初めて、女に浮気されたヤクザとしてのメンツが立つのだとか。

ヤクザの場合は半殺しですが、多くの妻敵討ちには社会的制裁が用いられます。間男が勤める会社に妻との不倫の証拠を突きつけて裁判も辞さない旨を伝えれば、たいていの会社は間男を首にするか左遷するでしょう。(失楽園)
そこで間男と縁を切るか、それとも家を出てまで間男と添い遂げるかは浮気妻次第。愛情と経済力を天秤にかけ女は判断するのです。

浮気の損益分岐点

夫からの復讐として浮気女と別れないという選択肢もあります。法律上夫婦でいることで浮気女に復讐する方法です。半ば自宅に軟禁する形になれば、金を払ってでも別れたいと思っている浮気妻にとって地獄の日々が続くのです。これ以上の外聞のよい復讐はないでしょう。
また、離婚を画策した夫が長期の出張に出るなどして妻が浮気をするよう仕向けることもあるようです。そうして妻の浮気の証拠を手に入れれば、晴れて夫は慰謝料などを払うことなく離婚できる。

そして、離婚する気はさらさらないのに妻に浮気を勧める夫もいます。跡継ぎとか性的不能とか理由はいろいろあるようですが......。(チャタレイ夫人の恋人)
さらに、性的嗜好から自分の妻に浮気を勧める夫もいる。著者はフランスの高級妓館の女主人マダム・クロードの娼婦の話とマゾッホの倒錯した結婚生活のエピソードを例にあげます。マゾ強ぇ......。でも、望んだ快感を得られないと怒るとか本当に個人の嗜好なんだなぁ、マゾって。

離婚は恥か勲章か

浮気を理由に離婚する夫婦もいる。浮気をしても離婚しない夫婦もいる。妻が二年間その気もないのに離婚を口にしたため、それを真に受けた夫が離婚を決めてしまった夫婦もいる。
仕事を持つ女性にとって離婚は一種のステータスとなりつつあり、浮気した妻や浮気された夫にとっても離婚は再出発の契機となるはずだ。それなのに、まだ妻を愛しているから別れない夫もいれば、妻への愛が冷めているにもかかわらず世間体や面子を気にして別れられない夫もいる。

浮気した妻が夫と別れたいと思うことはまれ

浮気をされた男性諸君の慰めになるかは分からないが、浮気した妻が間男と一緒になりたいと思うことは稀なのだそうだ。特に年を重ねれば重ねるほど、浮気をしても体だけの関係と割り切っているのだとか。逆に二十代は危ないということか。
浮気を恋愛ととらえている女性。離婚を夫への不満の表明ととらえている女性。結婚生活を経済的な互助契約ととらえている女性。

妻とは共同生活者である

長期的な展望にたった場合、妻の浮気にたいして夫は黙りを決め込むことが著者が導き出した最善の方法のようです。

追記

男女平等、男女同権が叫ばれるの現代、一盗二婢三妾四妓五妻の女性版を作らなければ。
一盗は女性にも当てはまりそうなのでそのまま、二は子供の担任、三は夫の同僚、四は愛人、五は夫というのはどうでしょうか?

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