不幸な国の幸福論 加賀乙彦 集英社

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人生を幸福に感じる要素

精神科医、心理学者である著者が前著「悪魔のささやき」に続いて、「自ら幸せを遠ざける」人間の心理的習性について解説し、人は何を幸せと感じるのかを説いた本。

自分に呪いをかける人々

自分で自分を不幸にする人達がいる。しかも、その人達はそのことに気づいていない。自分自身を客観的に見ることができず、自分が不幸である原因を他者や環境に求めたがる。
著者はその代表格に秋葉原通り魔事件をおこしたKをあげる。
本人も気づかぬうちに自分で自分を不幸にしていく人々。誰もが幸せを望んでいるはずなのに、なぜそのようなことが起こってしまうのか。

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不幸な国の幸福論 (集英社新書 522C)

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一兵卒は平和の夢をみる

著者は自分で自分を不幸にしてしまう理由として

  • 考えない習性
  • 他者を意識しすぎる習性
  • 世界に類を見ない日本人の習性

の三つをあげる。

日本人の大多数は世の中を測る物差しを自分の中に持っていない。そのため、日本人は常に他人の評価を気にしながら生活している。隣の芝生は青く見えるを地で行く存在、それが日本人。そんな日本人の精神構造をフランス人のそれと比較して解説する。

生きるということは死ぬということ

幸福にとらわれないこと。それが幸せに生きるコツだと著者は力説します。肩肘を張って幸せを求めていては、ようやく訪れた幸せに気づくことなく逃げられてしまう、と。
足るを知ること。変えられることと変えられないことの見極めること。情けは人の為ならず。
この三つを実践するうちに、人は身の回りにある幸せに気づくことができる。と著者説きます。もちろん訪れた幸せを見逃さないためにも、前出の三つの習性を改めなければなりません。情報リテラシーの重要性や自分の物差しを持つことの大切さも、さらりと解説しています。

変えられることと変えられないもの

なかでも印象に残ったのは、著者が引用した1943年にラインホールド・ニーバー牧師がアメリカのマサチューセッツ州にある小さな教会で初めて唱えた祈り、
『神よ、私たちにお与え下さい。変えることのできないものを受け入れる冷静さと、変えることのできるものを変える勇気を。そして、その二つを見分けるための知恵を(本文から抜粋)』
でしょうか。

手厚い福祉は国民の活力につながる

興味を持った本を端から手にとっていく現状の読書スタイルでは、同じ著者の本を再び手に取ることは稀です。小説などの文芸書では作者に惚れ込むことはありますが、ビジネス書や実用書ではその機会がない。
そんな中、この本の著者である加賀乙彦さんの本を手にとるのは「悪魔のささやき」に続いて二冊目となります。
変わらずの読みやすさで、語りかけるような文体は読む人を選びません。本の内容は、人を選ぶかもしれませんが(苦笑。
では、著者があとがきに記したこの一文で、レビューを締めたいと思います。

すべての国民は、個人として尊重される(日本国憲法第十三条)

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