髑髏城の花嫁 田中芳樹 東京創元社

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髑髏城に住まう影

クリミア戦争直後、ダニューヴ川河畔の髑髏城に一人の青年を送り届けた主人公、ニーダムは、後日ロンドンでその青年、ライオネルと再会する。
伯爵家の当主となったライオネルの周辺にきな臭いものを感じつつ、ニーダムは依頼された仕事をまっとうするためメープルと共に伯爵の屋敷があるノーサンバーランドへ向かった。

ヴィクトリア朝怪奇冒険譚三部作の第二部

ヴィクトリア朝怪奇冒険譚三部作の第二部にあたるこの本「髑髏城の花嫁」は、クリミア戦争に従軍し帰国した後に貸本屋へ就職したエドモンド・ニーダムと、彼の姪で同じ貸本屋で働くメープル・コンウェイの二人が出会った怪奇にまつわる話を回想録の形でつづったもの。

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吸血鬼vsエドモンド・ニーダム

今回の敵役は世界に名だたる不死の怪物、吸血鬼。しかも、因縁は第三回十字軍までさかのぼるという、何冊もの歴史小説を執筆している著者にふさわしいヨーロッパの歴史に根ざした作品に仕上がっている。
今作における歴史上の登場人物は、イギリスの政治家・文豪に看護婦制度を作ったナイチンゲール女史、ロンドンスコットヤードを創設したウイッチャー警部と前作と比べて少ないが、その分、ニーダムの親友、マイケル・ラッドが自分に正直なお調子者として物語を二転三転させてくれる。

それにしても、前作の名前も正体も分からない怪物より今作の吸血鬼や狼男の方があまり恐怖に感じないのはなぜだろう。
小説や映画などで主役として取り上げられる分、吸血鬼や狼男に馴染みがあるからかもしれない。双方ともマンガやライトノベルでは萌えの対象となることも多く、一部ではネタキャラ化してたりしますしね。

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