銀二貫 高田郁 幻冬舎

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読後に一杯のお茶と羊羹が欲しくなる物語

銀二貫で命を救われた主人公松吉が、命の恩人で奉公先の店の主人和助や番頭の善次郎、同じ丁稚の梅吉と大阪商人として生きながら、今までにない寒天を(あと恋も)模索していく姿を描いた作品。読書メーターで勧められた本。

西日本では銀が、東日本では金が基軸通貨な江戸時代

銀二貫は東日本の基軸通貨である金にすると約三十三両。庶民には一生縁のない大金である。その大金を和助はポンと差し出し、鶴の輔の命を救う。命を救われた鶴の輔は大阪商家の決まりとして名を松吉と改め、寒天問屋の奉公人として商家の教えを受けながら成長していく。
井川屋に奉公にあがって五年、十五才になった松吉は料理人の娘である真帆と出会う。

真帆の親であり料理人の嘉平に寒天の素晴らしさを教えてもらった矢先、大阪が大火事にあい、嘉平・真帆親子が大火の中行方不明になってしまう。
大火で嘉平・真帆親子が行方知れずになって五年、松吉は真帆と再会する。喜ぶ松吉を激しく拒絶する真帆。おてつと名を変え、お広と暮らす真帆は顔半分にひどいヤケドを負っていた......。

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寒晒にした心太なので寒天

銀二貫は新しい寒天を求め試行錯誤を繰り返す若き丁稚の話です。重ねて、和助や善次郎に代表される大阪商人の生き様を描いた話であり、松吉と真帆による江戸時代の恋の話でもあります。
腹を抱えて笑うような話ではありません。ハラハラドキドキするアクションシーンがある訳でもありません。二人の恋が大阪の将来を左右する(寒天屋と菓子屋の将来を左右しますが)こともありません。

徹頭徹尾、地に足がついたストーリー展開で、逆にその派手さのなさが物語の求心力と説得力になり読者の目を釘付けにします。
解説の水野晶子さんが書いているとおり、読み始めたらやめるにやめられず、一晩で読破してしまいました。

大阪商人の心得とは

大阪で商いをする商人の心得として、この本は『始末・才覚・神信心』をあげます。まあ、現代に当てはめても始末や才覚は分かります。しかしそれだけでは一角の商人とはいえない。神仏に感謝する心があって初めて、真の大阪商人と呼べる。大阪商人の生き様。

最近こんなことを思います。
真の商人とは、お金に学び、お金を知り、お金を操り、お金を増やし、そして、お金以外に価値を見いだすことが出来る人のことではないか、と。

この本は、大阪の寒天問屋の丁稚、松吉が過去に受けた恩に報いるため、今までにない寒天の製造と新しい寒天を使った羊羹の完成に情熱を捧げる話です。あと恋も。

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