小説の読み方 平野啓一郎 PHP新書

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小説を本の裏まで味わう方法

精読、味読の方法が分からないと悩む読者のために、『本の読み方 スローリーディングの実践』の著者が具体的に小説をより深く楽しく味わうコツを分かりやすく解説した本。

本を多く読むことが速読の目的ではない。情報源としての本の価値を高めるために速読が有効なのである。娯楽としての本の価値を高めようと思うならスロー リーディングするべきであり、今のところ唯一無二の選択である、と著者は前著『本の読み方 スローリーディングの実践』で説いた。読み込んだうえでの誤読 は決して無益ではない、という著者の主張には目からウロコが何枚も落ちたが、この本は前著の続編になる。

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精読や味読って、どうやるの?

この本の目玉は、スローリーディングの最初の一歩である小説へのアプローチについて解説している点だ。著者は岡ノ谷一夫さんの著書「小鳥の歌からヒトの言葉へ」からニコラス・ティンバーゲンの提唱した「四つの質問」を取り上げ、四つの質問を小説へのアプローチへ応用する方法について順を追って説明している。

四つの質問とは、動物行動の

  • メカニズム
  • 発達
  • 機能
  • 進化

に関するもので、これを小説へのアプローチに転用することで小説をより深く楽しむことが出来ると提言している。

読んだ本から何を得るのか?

四つの質問を簡潔に説明するのなら、メカニズムとは作品そのものを分析すること。発達とは作者の中でその作品を位置づけすること。機能とは作者が問いかけたもの、作品を通して読者が受け取ったものを解析すること。進化とは社会(もしくはジャンル)の中でその作品を位置づけすること。

アマゾンなどのレビューを読む限り、メカニズムと機能のレビューが多いように感じる発達や進化について書かれたレビューは少ないように感じた。個人の感想にとどまっているからだろうか。

この本は、具体的なスローリーディングについて「幽霊たち」「蹴りたい背中」「若さなき若さ」「日本文学盛衰史」「辻」「ゴールデンスランバー」「髪」「アムステルダム」「恋空」での実例を挙げ、スローリーディングの方法を解説した本です。

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