エッセイを書くたしなみ 木村治美 文藝春秋

投稿日:

ここをこう直したら、もっとよいエッセイになる

エッセイとは何か?といったエッセイの定義から、テーマの探し方や書く前の心構え、書き始めてからの注意点や書き上げた後の推敲の仕方について解説した本。

この本を読み解くと、エッセイとは書き手の主観で書かれた文章であり、かつ読者が共感できるような普遍性が求められる「試みの論」であることが分かる。論文との違いは、論文は客観性が重視され論証を必要とする点。ただ、どちらも論理的な文章であることは一致している。

- スポンサードリンク -

間接話法による聞書とプライバシー

もう一つエッセイが論文と違うところは強制力のあるなしだろう。エッセイは論文と違い、絶対に読まなければならないものではないので工夫を必要とする。つまり読者の気を引く必要がある訳で、文中ではその工夫を谷沢永一さんの言葉を引用して「筆者の個性が醸し出す人の世を生きる知恵」と説明している。

さらに、エッセイが上達するための秘訣として三多と三事をあげる。三多とは多くを読むこと・多く文を作ること・多く推敲することとであり、永井荷風の随筆から引用した三事(読書と思索と観察の三つ)と並べて解説している。多くの人に読んでもらうためには、読後感や言葉遣いの妙、自分ならではの視点を磨く必要もあるだろう。

エッセイも世に公開される以上、裏づけは必須

そして、見落とされがちな点として推論や持論の裏付けを取る必要性をあげ、自分の意見を公開する以上は最低限の確認を怠ってはならないと読者を戒める。その忠告は自戒であり、仕事での苦労話が続く。とりわけエッセイで使われる用語について解説した文章、特に差別用語について解説したページには著者の苦労がにじみ出ていた。

不特定多数の人間が読むことを前提にエッセイを書くこと。著者の実体験から出たこの忠告は心に刻んでおくべきだろう。
正直、後半間延びしてしまったのが残念です。

この本は著者の経験や合評会での出来事を元に、エッセイを書くに当たっての心構えや事例の個性的かつ具体的な切り口、エッセイと作文との違いについて解説した本です。

- スポンサードリンク -