話し方入門 D・カーネギー 創元社

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スピーチは一、二に努力、三、四も努力、五に強い意志

人前に立つと碌に話せないと嘆く読者に向け、長い間アメリカで「友を得、人々に影響を与える」と同義語のように語られたきたデール・カーネギーが、講演などのパブリックスピーキングについて詳細に解説した本。

世界中でとても評判の高いこの本ですが、一つ、ぶっちゃけさせてください。
手っ取り早くパブリックスピーキングの秘訣を知りたいと思う人は、各章の「まとめ」だけを十回読んでください。読んだら、書かれていることを繰り返し実行してください。回数に上限はありません。TPOも問いません。生活の一部になるまで繰り返し練習してください。

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話し方入門 新装版

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パブリックスピーキングは人生を変える

欧米の本にありがちなのですが、この本の半分は事例・実例で出来ています。

もともとハウツー本は、洋の東西を問わず主張、理由、事例・実例、結論で構成されていて、欧米の著作になると一つの章に十以上の事例・実例があることも珍しくありません。事例や実例を数多く紹介すれば、より多くの人々の共感を得ることがでいると信じられているからです。それは、この本にも当てはまります。
で、問題なのが、この手のハウツー本の事例・実例が、人物紹介→悩み→著者と会う→後日談→ハッピーエンドという形で話が進む、いわば著者の自慢話になりがちなことです。

比較的この本の事例・実例は著者の自慢話に聞こえませんが数が多いことも事実なので、一字一句食い入るように読むことはお勧めしません。が、流して読んでも目印のポストイットが十五個も貼られるぐらい面白い内容でした。印象に残ったものとしては

  • 本の中から「缶詰にされた」知識を引っ張り出してスピーチに転用しても不十分である
  • 余力の秘密は一つの苗のために百万もの標本をつくること
  • 想像力なきところ民族は滅ぶ
  • 話の目的についての四箇条(何かを分からせる、感銘を与えたり納得させる、行動を起こさせる、楽しませる)
  • 人間の最大の関心事(セックス、財産、宗教)
  • スピーチは具体例を交え、要点を三つに絞った人間味あふれた話でいい
  • 紳士淑女の教養(知的財産)の一つは、母国語を正確に美しく使いこなすこと
  • 一つのセンテンスを百四十回書き直す

などがあり、何十回と読み返せる内容になっています。
自信も準備も上手な話し方も、聴衆の興味を起こす方法も正しい言葉遣いも、すべては練習によって養われる。

聖書とシェークスピアがスピーチの秘訣

欧米と日本との違いを感じたのが「お詫びの言葉で始めてはいけない」の章。日本の謙遜の心も、欧米では自信のなさと受け止められるのですね。文化の違いといえば、聖書とシェークスピアを必読書として上げている点があります。この本でも、かなりの数が引用されていました。

面白いと感じたのは、著者が最後の章で成功したいと思うなら本を読むべきと提言している点です。第2章で「缶詰にされた」知識ではパブリックスピーキングの役に立たないと断言した著者。リンカーン大統領などの著名人の例をあげ、読書をパブリックスピーキングに生かす方法を解説しています。

パブリックスピーキングを習得したいという情熱はあるが、何をどうしたらいいか分からないという読者に、パブリックスピーキングの習得は練習あるのみ、正しい準備とひたむきな努力は必ず報われることを事例・実例を挙げて解説した本。

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