国語力をつける勉強法 和田秀樹 東京書籍

国語力って何だっ! それは情報リテラシー能力のことさ

ゆとり教育の導入によって間違った教育環境が蔓延し小中学生の国語力が低下したと著者は力説し、受験のためだけではない社会人になっても役立つ国語力を身につける勉強法を解説した本。

さて、本題の国語力をつける勉強法についてだが、理屈は多いのだが具体的な指示は少なく頼りない印象を受けた。親の意識が子供の人生を決めると拳を振り上 げておきながら、中学受験用の参考書を薦めるだけに留まっている。国語を学ぶ目的として「正確な伝達」と「スムーズなコミュニケーション」をあげ、この二 つを実現するための能力として「文法力」「語彙力」「要約力」「レポート作成力」の四つの解説する。

文法が出来なかったり、知らない言葉があったり、省略に惑わされたり、長文を読めなかったりしては、国語力を身につけたとはいえないと著者は力説する...... のだが、抽象的な表現が多いので親としては具体的にどうしたら良いか迷うのではないだろうか。その悪印象は第6章「我が子のために親がやるべきこと」を読ん でも払拭できなかった。

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国語力がこれからの人生を決定する

知らない方のために情報リテラシー能力を大まかに説明すると、

  1. 必要とされる情報を特定し探査する能力
  2. 取得した情報を分析し評価する能力
  3. 情報を効率的に扱う管理能力
  4. 情報を付加価値をつけて発信する能力

の四つを総合した能力のことであり、決して情報探査能力だけを指すのではない。
メディアによる報道の真贋を見分ける能力であるメディアリテラシーの基礎となる能力であり、情報リテラシー能力とは情報を扱う基本的な能力のことを指していると考えている。

方向性はあるが具体性に欠ける

見出しは威勢のいい言葉にあふれている。
情報収集力は「国語力」の有無で決まる、親の意識が子供の人生を変える、背景知識がないと文章は読めない、子供には詰め込み教育が必要である、自発的に書かなければ文章力は身につかない、敬語が使える人は高い評価を得られる、どんなことにも自分の意見を持つ、環境作りは親の役割りである、子供の目標になる、教育政策の失敗は国を滅ぼす、国民が勉強すると産業が発展する......などなど。

この本は徹頭徹尾、詰めが甘い印象をぬぐえなかった。
例をあげると、主語の省略を克服する方法として英文の構文「SVOC」を例に挙げ、日本語の文章から主語・動詞・目的語・補語を探す練習をするべきと著者は説くも、具体的な記述がないので読者としたらそこで手が止まってしまうのだ。やはり、勉強のヒントとなる練習問題のたぐいが一つもないのは問題だろう。練習問題の一つでも載せれば、ずいぶんと違ったように思う。

たしかに著者の書くように子供には個人差があるので一概にはいえないが、このままでは親への負担が大きすぎるのも事実。推薦図書や参考文献の一つや二つ、あっても良かったのではないか。
その意味では、梶原しげるさんの『口のきき方』についての記述は新鮮でした。

この本は、情報リテラシー能力の基礎である国語力を向上させる方法について、具体性に欠けるものの進むべき方向性を指し示した勉強法の概論書です。

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