里庭ガーデニング 神保賢一路・神保優子 農文協

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身近な生物多様性空間

多様な生態系の揺り籠である里山。里山は住民たちが手入れすることで生物多様性を維持している。その里山と同じく多様な生物が息づく空間を「自宅の庭」に簡単に作れるとしたら?

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緑にもいろいろある

庭にもいろいろあります。庭の緑にもいろいろあります。西洋の庭のようにかっちりした緑もあれば、日本の庭のようにこんもりとした緑もあります。どちらの庭も効果的に木々を利用していますが、この二つは里山ほど生物多様性が保たれていません。見た目に重きを置いているからです。
では、自宅の庭を里山にする方法とは、どのような方法なのでしょうか?

生け垣に果樹

個人的な印象としては、里庭作りの要は三つの自然環境を庭に再現することだと感じました。
まず、木です。大きく背が高い木は必要はありません。季節になれば花が咲いて果実が実る気がよいとのこと。
花の蜜は昆虫を呼び寄せますし、熟した実には多くの鳥がやってくるからです。

著者のおすすめはキンカンだそうで、花を楽しんだ後は採れた実でお酒やジュースを作るのだとか。個人的には生け垣にするならアベリアではないかと思っています。春から秋まで花が咲いていますし。
まあ、生命力の強い低木なので選定が大変そうですが。
実がなる木なら何がいいですかね? やっぱり、人が食べられるものでしょうか。

メダカやタニシはどこから?

著者は小さくてもよいので池を作ることを勧めています。池といっても、深い池は必要はありませんし、鯉を放す必要もありません。
ブルーシートを使った簡単な池で十分。浅くてもよいので、夏は木々の葉が水面に影を落とし、水際まで植物が生い茂った池が里山には必要不可欠なのだとか。
そういった池を作ると、いつの間にかメダカやタニシが住み着いているのだそうです。

親方! 空からアオサギが!

著者の庭には時折アオサギがやってきては、メダカやタニシをついばむ姿を見せてくれるそう。ん? 川が流れ込んでいる訳でもない庭の池に、なぜ水生生物が暮らしているのか? それには立派な理由があります。もちろん、著者が放したのではありません。人の手を借りず、いつのころからか住み着いたのです。
うん、分かった。泥から生まれたんだ。

畑も自然の一部です

最後は花や野菜などの人の糧となる植物を植えることです。
基本、自然に任せっぱなしといっても、多様性を維持するにはある程度は人が手を入れる必要があります。
ですが、義務感だけでは何年も続けられません。里山の庭に楽しみや利益がなければ、すぐに疲れてしまうからです。

花や野菜などを育てることで里山を維持する原動力にするだけではなく、育てた花や野菜を近所にでも配れば人間関係にも角が立ちません。
収穫が終わった花や野菜の残りは、そのまま落ち葉などと混ぜ堆肥とし翌年分の肥料とします。
すごい、まったく無駄も無理もない。まさに命が循環しています。

里山ガーデニングに欠点が?

自宅の庭に里山を作るという発想は、正直想定の範囲外でした。
すごいと思うし面白いと感じるのですが、正直、会社員がこれだけの庭を持つ家を購入するのは難しいのではないかと感じます。そうですね、会社員には無理でも公務員ならば可能かもしれません。給料も決して低くはなく、各種手当てが充実している公務員なら。

また、これだけの庭を維持していくには向こう三軒両隣の理解と同意が必要不可欠だとおもうのですが、このあたりのことに著者はあまり触れていません。まあ、あくまで里庭作りの技術書ですからね。その手の近所トラブルの話は法律相談の本にお任せしましょう。
広い庭つきの一軒家を持ち庭いじり大好きな方は、ぜひ一読することをお勧めします。

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