「買いたい!」のスイッチを押す方法 小阪裕司 角川書店

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なぜプリンは売れたのか

消費者が「もの」を買うとき、何が消費者の背中を押しているのか。黄金比率プリンを例に、価格の安さが必ずしも「もの」を買う行動につながらないことを解説する。

買いたいスイッチ、ON!

買い物をする心と行動のメカニズムを解説し、客の購買行動にそったマーケティングを提唱する。 商品が売れないのは不況のせいではない。価格の安さは購入の決め手にはならない。ぶっちゃけ、高くても欲しいものは買う。なぜなら消費者は脳裏に描いた 「未来の私」に突き動かされて購入を決定しているからだ。

車を例に例えてみよう。 貴方が欲しいと思う車があったとする。販売店が提示した値段では正直毎月の支払が厳しい。しかし、車でドライブしたり買い物をしたりする未来の自分を想像したとき、貴方の気持ちは固まっているはずだ。

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売って終わりではない商売

以前、商品の売り買いとはコミュニケーションであるとブログに書いたことがある。本来は人と人との付き合いの一つであった商取引が大量生産・大量消費の時代になって、単なる商品と金銭の交換になってしまった。商品と金銭の交換である以上、売り手は高く売りたいし買い手は安く買いたい。薄利多売が幅を利かせ、量販店が個人商店を駆逐する時代になった。個人商店は次第に数を減らしいていく。

時代は変わり、今度は個人商店を駆逐してきた量販店が経費がかからないインターネット通販に駆逐されている。価格の安さを売りにしてきた量販店に為す術はない。

信頼関係を築く商売

一方、それまで衰退の一途をたどっていた個人商店に復活の兆しが見え始める。 キーワードは「信頼」だ。 商品の値段ではなく、商取引の本来の姿であるコミュニケーションを重視し、量販店では不可能なキメの細かいサービスを徹底することにより、店と客との間に信頼関係を築いていく個人商店。信頼関係で結ばれた客を特に顧客と呼ぶが、価格の安さを売りにしたインターネット通販は顧客が生まれにくい。価格にしか訴求点がなく、客を引き止めておくことが難しいからだ。

インターネット通販ほどではないが量販店も顧客が生まれにくい環境にある。なぜなら客は、販売員個人との関係の中で顧客へと育っていく。転勤や退職がある量販店では個人商店ほど顧客を維持できない。活路の一つはアフターサービスだが、修理するより新しく買ったほうが安くすむ現状ではアフターサービスで顧客との間に信頼関係を結ぶのは難しいと思う。 (そういった意味でも、インターネット通販でありながら客との間にある程度の信頼関係を築いているアマゾンは別格の存在といえる)

お客さま、貴方にはまだ早い

第五章では『顧客の感性を育成する』と題し、客を顧客へと育てる個人商店を解説する。 顧客の感性を育てることで店側に何のメリットがあるのか。感性を育てることで、顧客が思い描く「未来の私」像を豊かにすることができる。顧客がある商品を手にとった時、店員の説明からどんな「未来の私」を想像するか。顧客の感性を育てることが売上の向上につながる訳です。

第六章では、消費者の購買行動を創り出すマーケティングについて解説します。消費者の購買行動を先読みする思考法を身につけるにはどうすればいいか。著者は直感回路(将棋の棋士の思考を例にして)と共感回路の二つの回路が必要と説きます。具体的には、商品Aを買いに来た客がどのような未来の自分を想像しているか、どのような行動をするのか、どのような勧め方をすればいいのかの三つでしょうか。

想像してごらん イマジン

商取引を単なる金銭の交換と思っていると、売って終わり・買って終わりと考えてしまいがちです。商取引は本来コミュニケーションであったこと。商取引には、売り手と買い手の間の信頼関係が欠かせないこと。売上のためでなく、顧客の人生を豊かにするために「顧客の感性を磨く」ことで店への信頼を高めること。

そういえば言及するのを忘れてました。「買いたい!」のスイッチを押すのは誰かということを。この本では買いたいのスイッチを押すのは、売る側ではなく買う側なんですよ。売る側は買い手が自分で買いたいスイッチを押すのを待つだけ。強いて言えば買い手がスイッチを押したくなる環境を整えるのが売り手の役割ですかね。

目指せ! 100年企業

余談ですが、昔、価格破壊で一世を風靡したディスカウントショップって、今はどうなっているか知ってますか?  あの手の激安ショップって、30年も続けばいいほうだとか。100年企業なんて、夢のまた夢ってことです。 インターネット通販も結末は同じだと思いますよ。
まあ、雨後の竹の子のように新店舗が起業しているので、尽きることはないでしょうがね。

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