遅咲き偉人伝 久恒啓一 PHP

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少子高齢化社会への提言

丸六年で約400館の記念館を訪ねて回り今やライフワークになった、全国の人物記念館を巡る旅を続ける著者が還暦を過ぎてから輝きを放ち続けた日本の偉人を紹介した本。

セミリタイヤ? それって美味しいの?

人生の後半こそ長い時間をかけて何事かを為すことができるし、その姿が、少なくなる若者への無言の教育にもなる、と著者はこの本の前書きで説きます。まったく、その通りだと感じます。
この本では老いてますます輝きを増した人生を送った著名人を多彩型、一筋型、脱皮型、二足型に分けて紹介しています。取り上げられている人物は、松本清 張、森繁久彌、与謝野晶子、遠藤周作、武者小路実篤、牧野富太郎、大山康晴、野上弥生子、本居宣長、石井桃子、平櫛田中、徳富蘇峰、寺山修司、河田龍吉、 森鴎外、新田次郎、宮脇俊三、村野四郎、高村光太郎といった、そうそうたる面々。

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六十、七十は洟垂れ小僧、男盛りは百から百から

読んでいて意外だったのが、松本清張や森繁久彌と並んで与謝野晶子や武者小路実篤、大山康晴や寺山修司の名があるところ。
四十三歳の時に作家デビューした松本清張や若い時に苦労した森繁久彌らは遅咲きの人生だと思うが、後の四人は若いうちから名が売れていたはず。
そう思いながら読み進めていたのですが......正直自分の浅学さが恥ずかしいです。

はたして、隠居は正しい老後の姿なのか?

十一人の子供を育てながら、評論や歌や詩を発表した与謝野晶子。プロレタリア文学の台頭により、失業の苦境に立たされた武者小路実篤が起した「新しき村」運動。十八期保持し続けた名人位を失った、大山康晴の「五十歳の新人」として戦う気概。俳句から短歌、短歌から演劇へと舞台を飛躍するにつれ輝きを増していく寺山修司の表現力。
積み重ねたものだけが放てる輝きというものがあることを、この本の偉人たちに教えられました。

渋江抽斎→森鴎外→吉野俊彦→?

この本ではビジネスマンとして働きながら、転身してまったく別の分野で活躍した人物を紹介しています。松本清張、川田龍吉、新田次郎、宮脇俊三、村野四郎らがこれに相当すでしょうか。軍医と作家の二足のわらじを履いた森鴎外も当てはまるか。

老いることをネガティブに捕らえないこと。遠藤周作はこう言っています。
「老いる時は老いるがよし」
年を取ったからこそ出来ることがある、と。

老いてますます盛んな年頃

定年を迎えた団塊の世代の方々にこそ、この本を読んで欲しい。そして、目標を定め生き生きとした人生を送って欲しい。夢を見失った若い人たちの希望となって欲しい。
覚悟してください。この本を読んだら楽隠居なんて出来ませんよ。

この本は、老後は遊んで暮らしたいと考えている怠け者に、仕事が生き甲斐であった偉人たちのエピソードを紹介し、仕事とは何かを問いかけた本です。
......その胸に少しでも情熱が残っているなら、老いてますます働けるのではないでしょうか。

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