カメラをつれて山歩へ行こう! 矢島慎一 技術評論社

山歩と書いてサンポと読む?

カメラを手に山を歩き、目の前に広がる風景や情景を思い通りの写真を収めるにはどうすればいいのか? 山を歩くために必要な装備や基礎知識と狙い通りの写真を撮るための工夫について解説した本。

思い立った日が登山日

山を撮影するには登山者になる必要がある。ではどのような服装で山に登ればいいのか。
著者はまず、登山靴とレインウェア、バックパックといった必要最低限の登山用品からそろえるべきと説きます。パンツや速乾性の薄手のパンツであればよし、手袋や靴下は日用品でとりあえずは事足ります。季節については特に指定はありませんが、初めての登山であれば暑くも寒くもない天候が続く晩春から初秋がおすすめ。

まあ、初めての登山で冬山を選ぶ愚か者はいないと思いますが......。

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山歩向きカメラとは?

では山に持っていくカメラはどんなカメラがいいのでしょうか。
一つは露出補正の操作が簡単なこと。絞り優先モードがあること。ISOの感度調節が出来ること。カメラ本体は小型で軽量なものを選ぶことを勧めています。本の表紙からも想像できますが、この本の対象読者は女性です。初版が2012年ですから、山ガールがもてはやされたころですかね。

コンパクトカメラは論外?

小型軽量のカメラといってもAPS-Cサイズのデジイチが最低ライン(フォーサーズはお呼びじゃない)のようです。レンズは標準ズームを一本、できれば大口径なレンズを。この本に載っているサンプル写真の約半分は背景のぼけた被写体深度が浅い写真がほとんど。
あとは予備のバッテリーと雨・水濡れ対策品をいくつか。意外にも、重くもなく嵩張らない小さな三脚は山写真の必需品だそう。

風景を生かすも殺すも腕次第

同じ山でも、春から秋の写真と冬の写真では方向性がまったく違った写真になります。また、登る山の標高によっても出来上がった写真は違うはずです。
何も考えずにいては、いい写真は撮れません。全自動モードではなく絞り優先モードで撮影するのも一枚一枚考えて撮ることを習慣づけるためです。
被写体は多岐に渡りますから、周囲を観察しシャッターチャンスを見逃さないようにします。もちろん、他の登山者の迷惑にならないように気を配ること。これは大前提です。

山と三つの図鑑

この本にはサンプルとして多くの写真が載っていますので、書かれた文章と写真を見てあれこれ考えるのも上達の一歩になることでしょう。
初心者向けの本らしく、この本の巻末には「山の花図鑑」と「野鳥図鑑」と「全国山ガイド」の三つの図鑑があります。前の二つの図鑑は山で見られる植物や野鳥を写真つきで解説しているので、重い図鑑を持っていくより効率的に目の前の花や鳥のページを探すことが出来るはずです。

絵になる山、登る山

最後の一つ、全国山ガイドですが初心者向けの本としてはちょっと異彩を放っています。なぜなら、二千メートルを超える山がいくつも紹介されているからです。
日本一の高さを誇る富士山から、黒斑山、至仏山、大菩薩嶺、涸沢、縞枯山、千畳敷、白馬乗鞍岳、立山室堂、乗鞍岳、白山、御嶽山と合わせて十二も。全国山ガイドでは五十箇所の山を紹介していて千メートル以下の山が二十一箇所。そのうち高尾山(標高五百九十九メートル)より低い山が六箇所とややハードな印象を受けます。

まあ、山の途中まで車で行けたりロープウェイが麓から山頂まで張られていたりする山もあるので、二千メートルという数字ほど厳しくはないのかもしれません。が、標高千二百十二メートルの御在所岳に登っただけで一週間ものあいだ筋肉痛が引かなかった私には想像するだけで震えが止まりません。

まとめ

写真の解説はポイントを押さえていて分かりやすいし、図鑑も充実していて初めて山を登る者にとっては役立つ内容になっている。特に、バックパックに入れて山に登れるように小さく軽く作られていながらフルカラーなのは好感が持てる。
身近な山でも写真の被写体となる自然に満ちている。二百メートル以下の山からでもいい。まずは自分に合った靴を選ぶところから始めよう。

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