「文化系」学生のレポート・卒論術 渡辺潤+宮入恭平(編著) 青弓社

諸君! 論述を開始せよ!

レポートや論文を書くにあたり使えそうなコンセプト、役立ちそうなトッピックを紹介し、論文の書き方から資料の集め方までを広く浅く解説した本。

自ら学ぶことを学んだ大学生に贈る

文化系」というキーワードの元にありとあらゆる学術分野を網羅し、一つ一つ概論を解説しています。
最初のパートでは用紙のレイアウトや句読点の打ち方といった論文の技法ではなく、テーマの選び方や視点の定め方といった手法に焦点を当てて解説しています

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文化の名のもとに競え

それにしても、扱っているジャンルが半端ありません。
文化系の名のもとに10のコンセプト(消費、若者、アイデンティティ、ジェンダー、階層、政治、コミュニティ、レジャー、グローバル化、メディア)と、10のトビック(音楽、ファッション、スポーツ、アニメ、アイドル、有名人、映画、観光、食、ソーシャル・メディア)の、合わせて20ものテーマ・モチーフについての概論を語っているのです。
現代の文化系に属するの流れを把握するにはこれ以上ない本だといえるでしょう。

当世流行論壇通信

他の類書と一線を画しているのは、ほぼすべてのページの下段に参考文献が載っていることです。下段に参考文献が載っているページは約二百ページ。1ページに二つの参考文献が紹介されていたとして四百冊弱。あまりの数に、重複して紹介されている本があるのかさえ調べる気になりません。というか、どういうわけか巻末に参考文献一覧表がないんですよね、この本。

トピックス「アニメ」はたった七ページ

ただ、それでも不便には感じないはずです。一例としてアニメのトピックで紹介されている本をあげてみましょう。

  • 東浩紀『動物化するポストモダン』
  • 大塚英志『「おたく」の精神史』
  • 岡田斗司夫『東大オタク学講座』
  • 斎藤環『戦闘美少女の精神分析』
  • 津堅信之『日本アニメーションの力』
  • 渡辺奏ほか『日本アニメーション映画史』
  • 『押井守全仕事リミックス』
  • 大塚康生『作画汗まみれ増補改訂版』
  • 宮崎駿『出発点』
  • 津堅信之『アニメ作家としての手塚治虫』
  • オトナアニメ編集部『いまだから語れる70年代アニメ秘話』
  • 阿島俊『漫画同人誌エトセトラ82~98』
  • 西村マリ『アニパロとヤオイ』
  • 米沢嘉博『戦後エロ漫画史』
  • ローレンス・レッシグ『コモンズ』
  • 米沢嘉博『マンガと著作権』
  • 福井健策『著作権とは何か』

このほかにも、青土社の月刊誌「ユリイカ」やキネ旬ムック群、『オトナアニメ』『アニメスタイル』『アニメージュ』『Newtype』などを紹介していました。

アニメファンを自認する人なら、三冊は読みたい本があるんじゃないですか?

静まれ! 俺の食指!

もちろん、私が過去読んだことがある本がたくさん載っていました。タイトルだけで興味をそそられた本もあります。(もっとも、そうして買った本の半分以上はそりが合わずに読まないままなんですが)
論文や卒論を書く機会のある大学生はもちろんですが、大学生以外の知的好奇心が旺盛な人にこそお勧めできる本ですので、読書をこよなく愛する人に読んで欲しい。

ラ・ヨーダスタセッラ。これが、世界の選択か......。

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