ニホンミツバチが日本の農業を救う 久志冨士男 高文研

ニホンミツバチとの共生

日本の自然や里山の維持に重要な役割を果たしてきたニホンミツバチにスポットを当てて、セイヨウミツバチにはないニホンミツバチの魅力を語ったニホンミツバチの入門書。

野生のミツバチとの思い出

この本を手に取るきっかけは、野生のニホンミツバチとの出会いでした。

二、三年ほど前、名古屋市の中心街にある公園の木にニホンミツバチが巣を作っているのを見つけました。その公園は車が行き交うビジネス街のど真ん中にあっ たので正直驚きましたが、じっとしていれば威嚇してくることもない(無視してくれる)ため初めて目にするニホンミツバチの巣を間近で観察することができま した。
といっても、巣門を出入りするハチを眺めているだけでしたが(苦笑。 その後、名古屋市の中心地で実験的に養蜂が行われている新聞記事を読み、ニホンミツバチへの関心が高まっている時にこの本を知りました。

運命だったんですかねー。

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ニホンミツバチの飼い方

この本を読むと、いかにミツバチが人間社会に多大なる貢献をしているかが分かります。一つは甘い蜜。そしてもう一つが花粉の媒介です。実のところミツバチはハチミツより花粉媒介での貢献度が高く、その経済的価値はかなりの額になるのだとか。

ニホンミツバチの生態を箇条書きにすると

  1. ニホンミツバチは上を向いて止まり、セイヨウミツバチは下を向いて止まる。
  2. ニホンミツバチは人に馴れ協力的になる。セイヨウミツバチは人に馴れない。
  3. ニホンミツバチはススメバチへの対抗手段を持っている。セイヨウミツバチは持っていない。
  4. ニホンミツバチはセイヨウミツバチよりも言葉と感情を多く持っている。
  5. ニホンミツバチはセイヨウミツバチと比べて寒さや病気(ダニなど)に強い。
  6. ニホンミツバチはセイヨウミツバチと比べて日の出から日没後までよく働く。
  7. ニホンミツバチはセイヨウミツバチと比べて採蜜場が狭くてすむ。

箇条七の「採蜜場が狭くてすむ」はまさに逆転の発想でした。

ニホンミツバチはセイヨウミツバチと比べて集蜜力が低い(セイヨウミツバチの八分の一)のですが、それは広い花畑を必要としないということであり、ハチミツによる収入を目的としなければむしろ飼うには好都合ですらある。なぜなら、十分な蜜を集められなければミツバチはやがて餓死してしまうからです。

ニホンミツバチとオオスズメバチ

この本ではミツバチの天敵であるスズメバチ、特にオオスズメバチについても好意的に解説します。 ミツバチの知的能力はオオスズメバチとの戦いを通じて培われたものであり、オオスズメバチの知的能力、言葉と理解力はニホンミツバチに劣らず高い。

オオスズメバチは人に馴れ言葉を持ち、人が敵ではないと判断すると攻撃をしてこなくなる。砂糖水で餌付けしたオオスズメバチを箸でつまんで持ち上げても抵抗しない。
ただし、砂糖水の皿を取り上げたり不用意に巣に近づくのはやめた方がいいと忠告し、オオスズメバチは自然界にとって益虫であると力説しています。

ミツバチの敵は

さて、ここで問題です。 自然豊かな田舎よりも都会のほうがニホンミツバチを見かける機会が多いそうですが、それはなぜだと思いますか?

理由の一つは、蜜源となる樹木や草木の花が意外と多いことです。道路の生垣に利用されるアベリアなどは春から秋の長い期間に渡り花を咲かせますし、都会の公園には必ず花壇があり大なり小なり花が咲いていることが多い。かえって住宅地の公園のほうが花が少ないぐらい。これが都会でニホンミツバチを見かける理由です。
もう一つの理由、自然豊かな田舎でニホンミツバチを見かけない理由。これについては本書をお読みください。

あと、この本を読んでニホンミツバチを家で飼ってみたくなった人には、同じ著者の「我が家にミツバチがやって来た―ゼロから始めるニホンミツバチ養蜂家への道(高文研)」をお勧めします。
あー、早くアパートやマンションでニホンミツバチが飼えるようにならないかなぁ......。

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