時計じかけのハリウッド映画 芦川いづみ 飯富崇生 角川書店

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ハリウッド映画の脚本に必ず隠されている3アクト・ストラクチャーに代表される、ハリウッドの脚本術と脚本家を取り巻く映画制作現場について語った本。

すべての人が楽しめる映画

3アクト・ストラクチャーとは、ハリウッドで作られた映画のうち99%の作品で採用されるフォーマット(形式)のこと。

  • アクト1は物語のイントロダクション(導入部)であり、物語が始まるインサイティング・インシデント、物語が大きく転換するファースト・ターニング・ポイントから構成される。
  • アクト2はミッド・ポイントとセカンド・ターニング・ポイントからなり、膨らんだ物語が決して元の鞘に収まることのない地点に来たことを観客に伝える役割を担う。
  • アクト3はクライマックスとエンディングから構成される。セカンド・ターニングポイントをきっかけに物語が収束していく過程と、物語最大の山場をへて登場人物たちが非日常から日常に戻ったところで物語は終わる。

気の利いたセリフの一つもあれば完璧だ。

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主人公に求められる資質

この本で解説している3アクト・ストラクチャーを日本人に分かりやすく説明するなら、本文中の起承転結よりも序破急をイメージすると分かりやすいと思う。

ハリウッド映画の共通点は、日常から非日常に追い込まれた主人公が自分の力で日常に戻ろうと行動する姿を描いた物語であること。アメリカ映画の主人公は常にアクティブであることが望まれる。

創作過程をシステム化する

こんな例え話を聞いたことがある。 日本人の名カメラマンが撮影したシーンをアメリカ人が撮影すると、同じ絵を撮るのに30人ものスタッフと大量の機材を必要とした。それを見た日本人映画関係者は笑ったが、名カメラマンが亡くなった後も同じ絵を撮るアメリカ人を見て日本人は皆口をつぐんでしまった。

この例えからも分かるように、アメリカはシステム化、大衆化するのが抜きん出て上手い。アメリカ人にとって誰にでも扱えるようにすることは必須であり常識。第2次世界大戦中も素人でも扱える戦車を大量に製造したりと、アメリカ人の考え方はすべてにおいて徹底している。

もちろん、映画製作やシナリオにもだ。脚本エージェントに送られてくる脚本は年間1万5000本。脚本ストックセンターで映画化されるのを待っている脚本の数は日本と比較にならないほど多い。アメリカでは一本の映画脚本で大金をつかむことが可能な点も日本とは大きな違いだ。

映画を大衆化したアメリカ

この本では、インディ・ジョーンズシリーズやアメリカ版リングに見る日本とアメリカの演出の違いを比較したり、デヴィット・リンチ監督「マルホランド・ドライブ」を例にハリウッドフォーマットを崩した脚本の功罪を熱く語ってみたりと、ハリウッド映画の脚本と脚本家について解説します。

さて、これからインディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国でも見ましょうかね。

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