文章力の基本 阿部紘久 日本実業出版社

読み返すことを念頭に置いた良書

この本では良い文章=明解な文章と定義し、良い文章であるための三つの条件と良い文章を書くための七十七のテクニックを解説しています。

三つの条件と三つの資質

良い文章であるための三つの条件として著者は、

  • 言いたいことが明確な文章
  • 頭を使わなくても、読むそばからスラスラ分かる文章
  • 簡潔な文章

をあげています。また、良い文章を書くための基本的な資質として、

  • 自分の頭で感じたり考えたりする習慣
  • 相手の身になって感じたり、考えたりする想像力
  • 健全な言語感覚を持つこと

の三つをあげています。

一つ目の、自分の頭で感じたり考えたりする習慣はブックレポートを書くことで身につきつつあると思いますが、二つ目と三つ目は自分でも正直あやしいと思っています。なので、この本はとても勉強になりました。

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章末に「まとめ」があるのもいい

書かれている内容は類書でも必ず取り上げられる文章の基本的な約束事ばかりですが、この本が他の類書と違う点は読みやすさを考えたレイアウトだと思います。
助詞や文末、能動・受動といった言葉の微妙なニュアンスの違い、読み手の立場に立った文章の書き方と、事細かく解説しているわりに他の類書と比べて圧倒的に読みやすいのです。ま、著者の書く文章が分かりやすいのも大きいのですが、少なくとも読みやすさや分かりやすさを強調しておきながら、本の構成やページレイアウトに無頓着な類書とは一線を画します。

私は十回読めることが良書の条件だと思っているのですが、この本はまさに困った時の虎の巻。さっと目を通しただけでも、執筆のヒントが目に飛び込んでくることでしょう。

文章力のその後で

ただし、注意したいのはこの本は文章の基本について解説しているのであって、レポートの基本を解説している訳ではないということ。まして、創作の基本について書かれている点は皆無(相手の立場になって書くという点を除けば)なので、レポートや創作上のヒントを探すのなら別の本が必要になります。

文章力の七つのカギ

個人的に目から鱗が落ちたのが、文章力を七つの要素に分け解説している点。

  • 良いテーマを見つける「着想力」
  • テーマに関わるさまざまな事象に連想を広げる「連想力」
  • その中で書くべき事を峻別する「優先順位の判断力」
  • 書くべき事を「構造的に把握する力」
  • そこに自分独自の考えを加える「創造性、独自性」
  • 読み手の立場、心情、知識レベルなどを理解する「人間理解力」
  • 言わんとすることを、読み手に伝わる簡潔・明瞭な言葉で表現する「言語表現力」

著者は「文章力はビジネスに不可欠な問題発見能力、問題解決能力、業務遂行能力と重なる部分がある」とまで言い切ります。そこにシビれる!あこがれるゥ!

基本に忠実な著者

文章を書くことの喜びとして

  • 表現する喜び
  • 理解と共感を得る喜び
  • 相手や組織や、時には自分自身にも変化をもたらす喜び

の三つをあげ、
文章力の基本が身につくことで

  • 読み手がたちまち味方になる
  • 評価がぐんぐん上がる
  • 文章を書くのが楽しくなる

の三つを利点としてあげています。

文章を書くのが苦手な人、文章を書くのが苦痛と感じる人にぜひ読んでほしい文章力の基本を押さえた良書です。

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