川は生きている 富山和子 講談社

川と日本人の今昔物語

日本が今失いつつある自然。その自然の中でも日本人に身近な『川』について、日本人と川との付き合いの歴史を通して我々が今後どう『川』と向き合うべきかを小学生に向け優しく諭した本。この本を読んで、ダムをさらって出た栄養満点の土の行方を知りたくなりました。

水の話、緑の話、土の話

日本人の大地との戦いは川との戦いだった。
日本ほど雨に恵まれ、乾燥にさらされなかった国は少ない。ともすれば多すぎる水と上手く付き合ってきたのが、高度経済成長時代までの日本の姿だった。日本人は川に正面から立ち向かわず、その力をいなし、川の機嫌をなだめ、川を小さく分けた。不幸にも荒れ狂った川を前にした時は川の水が引くのをじっと耐えて待った。

農作物に水稲を選んだのも、多すぎる水と上手く付き合うための選択だった。土に水分を含ませることで、多くの水を大地に蓄えることができるからだ。

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豊かな川の流れが大地を富ます

しかし、日本の川は高度経済成長時代にガラリと変わった。日本の水事情は大きく変わってしまった。池や沼は埋め立てられて大地は保水力を著しく失い、直線的な三面コンクリートの川は荒れ狂った水の力をいなせず、大量の水にさらされた川の護岸は弱いところや低いところからほつれ、住宅地を広大な遊水池へと変えてしまう。
今の日本は、川との適切な距離を見失っている状態といえる。津波に備え、海岸線から住宅地を遠ざけるのなら、同じ理由で河川から住宅地を遠ざける必要があるのではないだろうか。

子供に読み聞かせたい本

対象としている読者が小学校低学年のためか、漢字が少なく大人が読むには逆に読みづらいことは確かです。しかし、語り口も優しく丁寧で的確なので、読んでいて飽きが来ることはありませんでした。小学校低学年を対象としているだけあって、本の文章量も少なめです。

また、この本の旧版は1978年に出版されているため、時代遅れと感じる記述もあります。現代の水事情とは合わない箇所もあります。しかし、この本が長きにわたって読まれているのは、日本人と水との関係の根幹ををがっちりと押さえているからでしょう。この本には、長きにわたり読まれるだけの魅力と説得力がありました。

子供がいる方は、ぜひ、この本を読み聞かせ、川、ひいては日本人と自然との関係を一緒に考えてみてください。

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