森づくりテキストブック 中川重年 山と渓谷社

森林再生、百年の計

居住区周辺の里山から山一面のスギやヒノキなどの植林された林まで、人と木々が縄文時代から共生してきた歴史や森や山に人の手が入ることで生物の多様性が守られている仕組み、市民ボランティアによる森林管理の方法などを解説した本です。

1950年代に始まった燃料革命により炭が燃料として使われなくなると、里山や雑木林を管理していた人々が職を失い都会に流れていきました。また、 1960代から始まった「拡大造林政策」が海外からの輸入材に押され失敗に終わると、林業に就く若者の数は減り、人手が足らなくなった人工林は次第に放置 され荒れ果てていきます。

- スポンサードリンク -

衣食住のすべてを賄ってきた森

森という再生可能な天然資源を活用する術を失い、枯渇する恐れのある化石燃料に依存している現代の日本。
自然任せの荒れ果てた森林は人の手が入った森林と比べると生物多様性が低い、という事実には本当に衝撃を受けました。里山は人が手入れをするからこそ、多くの生物が生息できるサンクチュアリだったのです。

森の手入れの大変さ

この本では、里山、竹林、人工林、人工林を転用した環境保全林の計画の立て方や進め方、市民グループの活動マニュアルまで、森林管理についての幅広い内容が図表・写真とともに紹介されています。鎌や熊手といった道具や計画を立てるための森の歩き方まで、著者の経験から得られた具体的な情報が惜しげもなく掲載されているには驚きました。
スギやヒノキは植えたら後は勝手に育つ訳ではありません。地ごしらえ、植林、下草刈り、除伐、間伐、枝打ち、主伐、搬出と手間がかかる上、植林から搬出まで40年もの歳月が必要なのです。汗水流して働いた分の収入は40年後。今の収入は40年間働いた先人たちの汗の結晶なのです。

二酸化炭素は敵か味方か?

森林の管理には長い年月が必要です。国家百年の計と言いますが、森林計画にも最低四十年の計画を必要とします。今日の成果が一ヶ月後に得られるとは限りません。ボランティア参加も結構ですが人は長い間無償で働けるほど忍耐強くないので、一刻も早くコストを抑え利益が回る仕組みを作る必要があると感じました。

- スポンサードリンク -