雲のカタログ [文と写真]村井昭夫・鵜山義晃 草思社

井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る

日々、刻一刻と変化し続ける雲とある条件下にだけ起きる大気光象について、発生する高度やメカニズムによって雲や大気光象を分類し系統ごとに写真つきで解説した本。

羊雲や鰯雲ってどんな雲?

この本では雲や大気光象を文学的にではなく、気象学的な見地から解説していく。
雲は対流圏だけで循環していること。その雲がある高度によって、上層雲(5000~15000)中層雲(2000~7000)下層雲(地表付 近~2000)中層(2000~7000前後の上層下層)対流層(雲底は下層500~雲頂は上層13000)の五つに分類できること。

その雲の形によってさらに細かく分類できること。その雲が発生する気象条件は決まっていること。その雲の高度、形、気象条件によって命名が決まること。大気現象の場合、太陽位置や角度などの条件が決まっていること。などなど。

日頃目にする雲や大気光象が写真つきで解説されるので、本を片手に目の前の空と照らし合わせることも出来ます。まさに空のカタログです。見ているだけでも楽しいです。

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雲形は全部で100種類ほどある

雲形の名前の付き方には高さ、形、雨の三つルールがあります。高さの命名として、上層雲には名前の先頭に「巻」の字が、中層雲には「高」の字が、下層雲には「巻」も「高」もつきません。
形での命名は、かたまり状の雲には「積」の字が、水平に大きく広がった雲には「層」の字がつきます。雨のルールでは、雨を伴う厚い雲には「乱」の字がつけられます。

10種類の雲は「種(見た目の形で)」や「変種(並び方や厚さで)」「副変種(特徴や付随する雲で)」に分類されます。
種での分類では層状雲、レンズ雲、塔状雲、房状雲などが、変種での分類では半透明雲、不透明雲、波状雲、放射状雲など、副変種での分類では尾流雲、乳房雲、ちぎれ雲、降水雲など。積乱雲でよく見かけるのは、無毛雲、かなとこ雲、ちぎれ雲、頭巾雲などでしょうか。

豆知識としとは、飛行機雲は10種雲形に含まれません。人工の雲ですからね。ただし、飛行機雲にもいくつかバリエーションが存在します。
他にも地表近くの雲として笠雲や吊し雲、環八雲として話題となった地表の影響を受けて出来る積雲があります。

大気光象とは、大気中の水滴や氷の粒によって生じる光学現象のこと

大気光象とは、大気中の水滴や氷の粒によって反射・屈折・回折・干渉して生じる光学現象のことです。
いちばん有名なのが虹ですが、虹にも主虹と副虹があり、さらに過剰虹、赤虹、白虹などのバリエーションが見られます。雲と光が織りなす大気光象としてよく見られるのが、光芒(雲間や雲の影から差す光の筋のこと)でしょうか。細かくは薄明光線、反薄明光線と呼ぶそうです。

雲中の六角柱状の氷晶によって太陽・月を中心とした円形の光の輪が出来る現象の総称をハロと呼ぶ。ハロは発生する条件ごとにバリエーションが多く、ハロ(外暈、内暈)やアーク(逆さ虹)といったものから幻日や太陽柱といったものも含まれる。

冷たい雨の正体は雲の中で出来る雪の結晶

これだけ印象的なのに、雲を効果的に使った小説は知りません。雲そのものを形として表現できる絵画や映像に比べて、言葉での表現に限度や個人差があるためでしょうか。著者が考えているほど、読者に伝わらないのかもしれません。
流れる雲を見るだけでもワクワクするものです。雲に関する知識を持てば、そのワクワクは何倍にもふくらむでしょう。

意外と天頂部の空の色はコバルトブルーだったりする

この本は日頃見慣れた雲の知識、雲の発生メカニズムや雲の外見的特徴による見分け方を学ぶことで今まで以上に雲を楽しむためのガイドブックです。

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