超思考 北野武 幻冬舎

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まず、帯や前書きに書かれている文章を一読すること

北野武は考える人である。理由は特にない。気づいたら、芸能界の片隅でうんうん唸っていた。......つくづく北野武という人は、考える人なんだと思う。

昔、といっても二十年ぐらい前に読んだ本は過激さと斜め上をいく論理だけが印象に残った。しかし、この本には論理的な破綻はない。かといって普通の思考で至る結論でもない。先鋭化された、誰にもまねできない結論と日本国民が忘れてしまった真理を内包しているのがこの本である。

人生という布には縦糸と横糸が必要だ

この本を読み解くキーワードは「やせ我慢」と「矜持(プライド)」だろう。それを象徴するのが『人生には金以外の喜びがあると教えられるか?』とい う問いかけの形をした見出しだ。金以外の喜びがないから、行列に並ぶ。金以外の喜びがないから、自分だけ得をしようとする。金以外の喜びがないから、金持 ちを妬む。......みなさんも身に覚えがあると思う。
この「金以外の人生の喜びを見つけなさい」という言葉は、修身教授録で有名な森信三先生も、人が生きる上で必ず身につけるべきこととして取り上げている。

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超思考

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よーく考えよー。お金は大事だよー

たとえば死について。著者は、今を生きる日本国民のうち死と真正面から向き合ったことのある人はどれだけいるだろう、と問いかける。死について考えることは、どう生きるかという結論に達するからだ。その点、死ぬ瞬間まで今の自分が最高と言い切る著者の姿勢は凄いと思う。とてもそんな境地にはなれない。

臭いものに蓋をし、都合の悪いものは見なかったことにする今の日本。偽物を賞賛し、本物見下す今の風潮。夢を売る商売が廃れないのは、それを買う大勢の自分の夢すら探せない人がいるから。やりがいがない仕事こそ、やりがいを自分で見つけるチャンスである。人の本音は社会を生きる上で役に立たない、薄利多売のしわ寄せは最終的に働いている自分に返る......等、誰もが胸を突かれた思いになるに違いない言葉の数々。

豊かさと幸せはイコールではない

そもそも豊かさ貧しさの基準はどこにあるのか? 十中八九、バブル絶頂期の生活レベルが基準になっているのだと思います。今の六十代前後の人はバブルに乗ってウハウハの生活をしていましたからね。それが忘れられないのでしょう。昔のことを懐かしむ老人が増える高齢化社会は、若者が夢を持てない社会になりそうですねぇ。

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